大陸で恐竜が闊歩していた中生代という時代。


海洋では
クジラなどの大型海生動物が
まだ存在していないこの時代に、
クジラのような生態的地位にいたのが
大型の海生爬虫類だ。


海生爬虫類

大型の海生爬虫類には
「クビナガ竜」「魚竜」がいるが、
中生代の最後の時代「白亜紀」の中頃になると
衰退の一途をたどっていった。


なかでも魚竜はその後、その姿を見ることはなかったという。

クビナガ竜の衰退と魚竜の絶滅は
1億2000万年前に起きた
中部太平洋の海洋底で地球史上最大ともいわれる火山活動
にともなう海洋生態系の崩壊、
主食であったイカなどの激減が
大きく影響したと言われている。


しかし
大型海洋爬虫類たちの時代は
これによって終焉をむかえることはなかった!


クビナガ竜の衰退と魚竜の絶滅


衰退していくクビナガ竜、絶滅した魚竜の
生態系の空白を埋めるように
新たに登場した大型海洋爬虫類が

「モササウルス」の仲間である!



モササウルス

モササウルス類は現在にもいるトカゲの仲間になり、
オオトカゲ にきわめて近い爬虫類である。



アイギアロサウルス

モササウルス類の直接的な祖先は
白亜紀中期のヨーロッパに生息していた
アイギアロサウルス と言われている。

貧弱ながらも陸を歩くだけの四肢は持っており、

おそらく、陸地で敵が現れると、その逃げ場の海に
飛び込んでやり過ごすのが常套手段だっただろう。


やがてこれらのオオトカゲたちが海生適応していくわけである。


モササウルスの仲間は
全長17mを超えるものがいる大海竜ような風貌で、
好戦的かつ、貪欲な捕食者であったといわれている!

モササウルス類の中でも
尖った鼻先で特徴づけられるティロサウルス
10m級の大型モササウルスだが、
明らかに闘争で受けた傷を手足に残している。
おそらく仲間同士の闘争に明け暮れた日常だったのかもしれない。


捕食するモササウルス

また食性ついては
アンモナイトの化石にモササウルスの噛み痕が残されていることは
よく聞く話だが、
なにも獲物はアンモナイトに限ったことではない。

ティロサウルスの胃の内容物には
海生鳥類の
ヘスペロルニス 、ウミガメやサメ、
そしてクビナガ竜のプレシオサウルス類や
同類である小型のモササウルスまで、
多岐にわたり、動くものなら、なんでも丸呑みにするという
貪欲さがここでうかがい知ることができる。


モササウルス類は当時、
海進によって、ほとんどが海中に没したヨーロッパ
で現れ、その後、世界じゅうの海洋へ分布を広げがっていくわけだが、

国内でもモササウルス類の化石がいくつも報告されている。


北海道のエゾミカサリュウのほか、大阪府ではプログナソドンと思われるモササウルス。

そして
和歌山有田川町で発見されたモササウルスの化石は
連続した脊椎骨(背骨)に足ヒレ、まとまった頭骨など
国内で発見された完全に近い骨格がそろっていることで
注目を浴びている。


竜骨生物群集

この和歌山モササウルスの化石にはツノザメやシロザメなどの
大量のサメの歯が残されていたという。

これはおそらく、
死骸となった和歌山モササウルスが、深い海の底に沈み、
そこでサメなどの様々な生物が群がり、その死肉をあさっていたと
いわれている。


現在でもクジラのような死骸が深海底に横たわり、
そこにサメやゾンビワーム、ホネクイムシなどの独特な深海生物が
群がり、ひとつの生態系が生まれることがある。
「鯨骨生物群集」と呼ばれるものだが、

このような生態系が恐竜のいた時代の海洋にも
クジラに代わって大型海生爬虫類の死骸に群がる
「竜骨生物群集」というものがあったのかもしれない。



和歌山モササウルス


というわけで、
この和歌山モササウルスについてお知らせです


2016年5月7日12時45分~


和歌山県立自然博物館で


談話会「モササウルスについて語り合おう」

を開催します。
パネリストとして登壇しますので、よろしくおねがいします。



参加申込・お問い合わせはお電話で
和歌山県立自然博物館 073-483-1777
まで。


談話会の定員は60名で電話申込み先着順です。

当日、飛び入りで参加はできませんのでご注意ください