今から3億7200万年前に、8割ほどの生物種が絶滅したと
いわれている


「デボン紀の生物大量絶滅」


この生物大量絶滅は
おもに海で起こったことで特徴づけられていることは

前回の記事


「謎が残るデボン紀の生物大量絶滅」


で述べた。


生物大量絶滅の原因については有力な説がなく、
謎のベールに包まれているが、


もしかすると
デボン紀に初めて形成された森林という環境が
大きく関係しているのかもしれない。


アーケオプテルス

デボン紀ではアーケオプテリス という
「木」と呼べるレベルの陸生植物が初めて現れて繁茂し、
荒涼としていた大地を覆って森林という環境をつくったようだ。


森林の形成

森林という環境はサンゴ礁に次ぐ生物多様性の場である。


地球に初めて「緑」を彩ったデボン紀という時代に
陸地では昆虫などのさまざまな節足動物が生息し、
イクチオステガ などはじめて脊椎動物が上陸を果たした。


デボン紀の陸生生物

生物多様な森林に流れる川はたくさんの栄養素がもたらされ、
海へと注いでいく・・・。


そして、海は高い水準の養分で満たされる

それは海の生物たちにとって良いことのように思えるが、
実はそうではない。


養分の高い海ではプランクトンなどが大増殖し、
酸素を速いペースで消費してしまい無酸素水塊をつくることが
あるようだ。今でいうと「赤潮」や「アオコ」がその例だろう。


海洋の無酸素

デボン紀後期の海洋には酸素が欠乏する時期が何度かあり、
魚や貝などの海洋生物に深刻なダメージを与え、
多様性低下に影響があったことは間違いないだろう。


このデボン紀の生物大量絶滅以外の
他の生物大量絶滅期が4回ほど起きているが、
いずれも巨大隕石衝突や大規模な火山活動という天変地異が一因といわれている。


そのなかで
森林という新しい環境ができ、陸での生物多様性が生まれたことが
海の生態系バランスが崩す結果となった


デボン紀の生物大量絶滅はその枠から逸脱した絶滅期だったのかもしれない。


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