1969年、北海道幕別町忠類で発見された

ナウマン象(忠類標本)が

50歳以上であることが、琵琶湖博物館(草津市)の高橋啓一総括学芸員らの

研究で分かり、30日、発表されたという!


中日新聞(2008年1月31日)

「69年発見のナウマンゾウ、50歳超だった」


ナウマンゾウ  学名(Palaeoloxodon naumanni
ナウマンゾウ

50歳以上だったことがわかったというナウマン象(忠類標本)は

今まで25~30歳のナウマン象と思われていた。


その理由とは!

北海道内に保存されている臼歯が

20~40歳に使われる「第2大臼歯」ではなく、

30歳から生えはじめ、60歳まで使われる

「第3大臼歯」と判断したためだ!


その臼歯の磨り減り具合で

50歳超と推定したわけだ。

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■ゾウの臼歯はベルトコンベア式■


ゾウの下顎の骨

これはアジアゾウの下顎の骨だ。

見た目は臼歯が各2本、時には各1本しか

生えていないように見える。


しかし

ゾウの臼歯の生え方はユニークで

われわれ人間を含む一般的な哺乳類の

歯の生え方は乳歯が抜けて、その下から永久歯が生えるという

「垂直交換」であるが


ゾウの臼歯の生え方

ゾウの仲間は

後ろから前へ臼歯が生えてくるという

「水平交換」なのだ!

前の臼歯を使ううちに磨耗して、なくなり

後ろからどんどん新たな臼歯が出てくるのだ!



アジアゾウの臼歯とその年齢

ゾウは一生に6回も臼歯が生え替わるのだ!

(上図を見る限り、現生のゾウが30歳あたりから第3大臼歯が出てくるので

ナウマンゾウの年齢推定もこれを参考にしている。


つまり、

今回のナウマンゾウの臼歯の化石を調べて

年齢を推定するというのは

このように臼歯の状態によって、

ゾウの年齢がある程度わかるというわけだ!


ちなみに第3大臼歯は最後の歯で

これがなくなると、食べるものも食べられなくなり、

ゾウの寿命ということになる

まさに「歯が命」というわけだ。


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ナウマンゾウの臼歯

■ナウマンゾウの化石からマンモスの歯!?■


話はナウマンゾウ(忠類標本)に戻るが

この化石には5個の臼歯があったらしい。

4個の臼歯が

上顎の左右、下顎の左右、合計4つの第2大臼歯、

未磨耗の臼歯の1個が第3大臼歯と思われていた。


しかし

この臼歯化石を再検討した結果、

4個の第2大臼歯と思われていたものが、

第3大臼歯だったとか!


それでは未磨耗の臼歯はなんなのか!?

研究の結果、それはマンモスの臼歯とわかったらしい!

今回の調査は

同じ場所からナウマンゾウとマンモスの化石が

見つかるという珍しい結果になったのだ!



くわしくはコチラ↓

30年前に見つかったナウマンゾウ化石の中からマンモスゾウの歯を発見